山田勇樹について、日本のダーツ選手紹介の記事では2019年の香港大会でPaul Limを破って優勝したことと、あの121チェックアウトしか触れていない。ここで紹介したいのは、それとはまったく違うエピソードだ。2014年、一度の人間ドックが彼の命を救った。
独立祝いにもらったのは、人間ドックだった
2014年の年明け、山田勇樹は10年間勤めた会社を辞めて独立した。その会社がフェリックス——ダーツショップTiTOを展開する会社で、山田はアルバイトから店長まで務め上げた。独立してまもなく、妻の山田香織(彼女自身もプロダーツ選手で、二人はダーツ界でも珍しい夫婦選手だ)が独立祝いに贈ったのが、人間ドックだった。この贈り物が、のちに彼の命を救うことになる。
見つかったのは進行の速いスキルス性胃がん
3月10日に人間ドックを受診、3月下旬に医師から告げられたのはスキルス性胃がん——進行が非常に速い、びまん性のタイプの胃がんだった。腫瘍はまだ小さく初期段階、手術すれば問題ないと言われたが、このタイプは進行が速いためすぐに手術が必要だった。山田は3月30日のPERFECT第3戦神戸大会を欠場し、手術に臨む決断をした。
4月10日に手術、その26日後には試合に復帰
4月10日、山田は腹腔鏡手術を受けた。検査の結果、転移は見つからず、不幸中の幸いだった。手術からわずか26日後の5月6日、地元・福岡開催の第5戦で早くも復帰し、ベスト16まで進んだ。当時の山田は2012年、2013年と2年連続でPERFECT年間王者を獲得しており、3連覇を狙っていた最中だった。この病気でその歩みは中断され、2014年の総合ランキングは4位に落ちた——それでも8月の第10戦横浜大会では決勝まで勝ち上がった。
この経験が変えた、「今すぐやる」という生き方
山田はのちにこう語っている。「明日はどうなっているかわからない。病気になるかもしれない。やりたいことは直ぐにとりかかるようになりました」。これは口先だけではなかった——実際に彼は福岡で自分の店、サンドイッチ店をオープンさせている。「いつかやる」と言っていた頃の自分は、この手術のあと戻ってこなかった。
復帰後:PERFECT年間王者から世界の舞台へ
体調が戻ってからも、山田の歩みは止まらなかった。2019年にはPDC Asian Tour香港大会の決勝でシンガポールの伝説的選手Paul Limを破って優勝し、2020年世界選手権の出場権を獲得。対戦相手はRyan Meikleだった。その試合の映像は下から見られる。
山田勇樹のエピソードが教えてくれるのは、人生で一番大事な瞬間は、必ずしも試合の中にあるとは限らないということ。ほかの日本人選手も知りたければ日本のダーツ選手紹介へ。自分の戦績を記録したいならこちらで会員登録を。AI DARTSの台は24時間セルフ、メニューはこちら。