マイケル・ヴァン・ガーウェン(MVG)とマイケル・スミスは、ここ数年のPDCツアーで最も対戦回数が多い組み合わせの一つです。対戦成績は長年MVGが大きくリードしてきましたが、スミスは最も重要な舞台で、最大の逆転劇を演じました。ここでは二人の対戦成績と、すべてを変えた2023年世界選手権決勝を振り返ります。
3度の世界王者、対するはイングランドの実力者
MVGは2014年、2017年、2019年にPDC世界選手権を制した3度の王者で、2014年から2021年にかけて世界ランキング1位に長く君臨しました。一方のスミスは、自分の代表的なタイトルを手にするまでに何年もかかっています。プレースタイルも対照的で、MVGは安定したスコアリング力、スミスは勝負どころでのフィニッシュ力で知られており、様々な大会形式で幾度となく対戦を重ねてきました。
対戦成績:MVGが長年大きくリード
PDCが2019年初めに公表した統計によると、MVGは対戦成績で25勝6敗と大きくリードしており、テレビ中継された対戦に限れば7勝1敗とほぼ一方的な結果でした。この数字は2019年初めまでの集計で、その後もプレミアリーグやマスターズなどで二人は対戦を重ねているため、実際の通算対戦数はさらに多いはずです。ただし全体の傾向としては、MVGがキャリア通算で明確に優位に立っています。
テレビ中継された主な対戦
- 2015年ダーツ・グランドスラム準決勝:MVGが16対6で快勝
- 2016年マスターズ準々決勝:MVGが10対3で勝利、ダブルは10投10中
- 2018年プレミアリーグ決勝:MVGが11対4でスミスを下す
いずれもMVGが一方的に押し切った試合で、この時期にスミスに対する心理的優位を築き上げました。
2023年世界選手権決勝:形勢が完全に逆転
2023年PDC世界ダーツ選手権決勝は、二人の対戦史の中で最も重要な一戦です。この試合でMVGはあと1投で自身初の九鏢完美局(ナインダートフィニッシュ)を完成させるところでしたが外れ、続くレグでスミスが1投も外さずキャリア初の九鏢完美局を達成しました。このレグはのちに「史上最強の一局」と呼ばれるようになります(詳細は九鏢完美局の歴史の記事をご覧ください)。最終的にスミスは7対4でMVGを下し、キャリア初の世界タイトルを獲得、同時に初めて世界ランキング1位にも輝きました。長年劣勢だった対戦成績の中で、最も重要な一勝でした。
試合後、MVGはスミスをどう評したか
決勝終了後、MVGは自らスミスのインタビューの場に歩み寄り、こう語りました。この瞬間、この男の活躍を言葉で言い尽くすことはできない、素晴らしいプレーだったのは誰もが分かっている、自分はチャンスをものにできなかったが、スミスは必要な場面でしっかり結果を出していた、だからこそ彼を称えたい、よく戦ったし、この勝利にふさわしい選手だと語っています(原文:"In this moment, this man isn't doing his game any justice. This man played phenomenal, we all know that. Of course, I didn't take my chances, but he was there in the moments he had to be. So fair play to him, he played well, and he deserved this.")。別のインタビューでもMVGは、チャンスはあった、自分を責めるしかない、スミスのプレーを否定するつもりは全くなく、彼は最初から最後まで見事なプレーを見せていた、自分は本来出したかった水準には届かなかったが、それも勝負の一部だと振り返っています(原文:"Of course, I had my chances. You only can blame yourself. That's not taking anything away from Michael. I think he played brilliant all the way through. I wasn't what I wanted to be, but that's part of the game, unfortunately.")。この場面は今でも、ダーツ界におけるスポーツマンシップを象徴する名シーンの一つとして語り継がれています。
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