ガーウェン・プライス(Gerwyn Price)とゲイリー・アンダーソン(Gary Anderson)は、かつてPDCツアーで最も緊張感のある関係にあった一組でした。2018年のある決勝では実際に接触にまで発展し、組織が正式に調査に乗り出したほどです。その後、両者の関係は少しずつ落ち着き、今では公の場でも普通に接することができるようになりましたが、盤上での対決は今も続いています。この記事では、この宿敵関係がどう始まり、どう変化してきたか、そして現在の対戦成績を整理します。
元ラグビー選手、2度の世界チャンピオンに挑む
プライスは元プロラグビー選手で、転向後トップ選手に定着するまで数年かかりました。一方アンダーソンは、プライスがプロ入りする前から既に2度の世界チャンピオン(2015年、2016年)でした。投げ方のスタイルもまったく対照的です。アンダーソンは静かで無駄のないフォームで投げるのに対し、プライスは感情表現が豊かで、カメラや観客に向けてアピールすることも多いタイプ。この性格の違いに加え、2017年末から2018年初めにかけての数試合で緊張感が高まったことが、この対決の始まりでした。
2018年 Grand Slam of Darts 決勝:衝突が表面化
2018年のGrand Slam of Darts決勝で、プライスは16-13でアンダーソンを下し、PDCメジャータイトル初優勝を果たしました。しかし結果以上に注目されたのは試合中の出来事です。両者は何度も睨み合い、言葉を交わし、アンダーソンが一度スローライン上でプライスを押す場面もありました。試合後プライスは、アンダーソンについて「自分とプレーすることに耐えられない」(原文:"He can't handle playing me.")と述べ、「自分のプレーに集中すべきだ」と続けたと伝えられています。PDCの調査後、プライスには21,500ポンドの罰金と執行猶予付き3か月の出場停止処分が下りました(上訴後、総額は約11,500ポンドに減額)。アンダーソンは押した行為について正式な警告を受けましたが、挑発されたと判断され、それ以上の処分はありませんでした。
2021年世界ダーツ選手権決勝:対決が歴史に刻まれる
3年後、二人は今度はこの競技最大の舞台で再び相まみえました。2021年のPDC世界ダーツ選手権決勝で、プライスは7-3でアンダーソンを破り、生涯初の世界タイトルを獲得、史上初のウェールズ出身世界チャンピオンとなり、同時に世界ランキング1位にも上り詰めました。この勝利により「議論で勝ち取ったタイトル」というイメージは完全に払拭され、最高峰の舞台で実力を証明した形です。この決勝の詳細は2021世界ダーツ選手権決勝の記事でどうぞ。
アンダーソンの雪辱、そして近年の対戦成績
この対決の序盤はプライスが優勢で、2019年のGrand Slam of Darts準々決勝でも再びアンダーソンを破り、そのまま優勝しました。しかしアンダーソンもずっと劣勢だったわけではありません。2023年11月のGrand Slam of Dartsグループステージでは、アンダーソンが10-6でプライスを下し、2018年決勝の雪辱を果たしました。試合後は冗談交じりに「そろそろ引退どきかな」と語ったと伝えられており、2018年のときとは対照的に和やかな雰囲気だったようです。直近の対戦ではプライスが再び優勢で、2025年のBaltic Sea Darts Open決勝ではプライスが8-3でアンダーソンを破り優勝しています。
舞台裏の関係:対立から相互尊重へ
ここ数年、二人の場外での関係は明らかに和らいでいます。2023年のWorld Cup of Darts決勝では、プライスがJonny Claytonとペアを組みウェールズ代表としてフランクフルトで対戦し、アンダーソンとPeter Wrightのスコットランド代表を10-2で下しました。ベテランのダーツ記者Ryan Conwayは、表彰式で二人が笑い合っている様子を記事にし、かつての宿敵は「今では心地よい敬意を持ち合っている」(原文:"enjoy a pleasant respect nowadays")と評しています。とはいえ、両者ともインタビューで相手について語ることは少なく、2018年の一件について、どちらかが後悔や謝罪を公に表明した記録は今のところ見つかっていません。
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